ロコモとは、骨や筋肉、関節、神経などからなる運動器に障害が起こって、その結果、立ったり歩いたり走ったりする能力が低下した状態を指します。立ったり歩いたりといった身体能力は、運動器の一つにでも障害があると著しく支障を来たすものです。
年齢を重ねるほど、一つの運動器の障害がほかの組織にも大きく影響するため注意が必要です。ロコモをそのまま進行させると、やがて自力で歩くことも立つことも難しくなってしまいます。そうなると、常に介護を必要とする状態になるリスクが高いため、ロコモ予防は介護予防にも重要なのです。
ロコモによる注意したい事例として骨粗鬆症があります。骨粗鬆症とは、骨がもろくなってちょっとしたはずみで、大腿骨や背骨など体を支える重要な骨が折れてしまいやすい症状です。ロコモによって骨粗鬆症まで発症させやすくなるのです。
また、骨粗鬆症がさらにロコモを進行させるという相関関係もあります。例えば、骨折で入院した場合、長期間ベッドで寝たままの生活を送ることになるでしょう。そうなると、ますます移動機能が衰えるとともに、高齢者の場合、認知症のリスクが高まります。認知症を発症させてしまうと転倒のリスクまで高まりますから、そのせいでまた骨折、長期入院、認知症がますます進行する…というふうに悪循環に陥る危険性があるのです。
近年、自覚しないままにロコモを進行させてしまう人が増えています。気がついたときにはかなり進行してしまっていることがないよう、ロコモ度テストで自分の状態をチェックし、生活習慣を見直すようにしましょう。